花火や雷にびっくり!パニックとその危険について

ペットにとって恐怖の音
川崎市獣医師会

川崎市獣医師会

本記事は、公益社団法人川崎市獣医師会に所属する獣医師の専門的な監修のもと執筆しています。

夏の夜空を彩る花火や、突然の雷鳴。私たち人間にとっては季節の風物詩でも、犬や猫にとっては“恐怖の音”になることがあります。驚いた拍子に大きな音や光にパニックを起こし、思わぬ事故につながってしまうことも少なくありません。ここでは、花火や雷が引き起こす危険と、その予防方法についてお話しします。

目次

急な音や光でなぜパニックになるの?

犬や猫は人間よりもずっと耳がよく、私たちには聞こえない高い音や微かな振動まで感じ取ります。雷の「ゴロゴロ」という低音や、花火の破裂音は、耳だけでなく身体全体に響く大きな刺激です。さらに雷や花火は、光・振動・気圧の変化も伴うため、感覚が一気に過敏になります。

こうした刺激を受けると、体内ではアドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンが急上昇し、「逃げなければ!」という本能的な反応が働きます。

実際に起こる二次被害

二次被害例

  • 家の中で家具や壁にぶつかって骨折や打撲
  • 網戸や窓を突き破っての転落
  • 首輪やハーネスが外れて脱走
  • 交通事故や迷子
  • 他の動物や人への突発的な攻撃

恐怖から逃げようとした結果、上記のような事故が起こることがあります。これらは一瞬の出来事で起こり、取り返しのつかない事態になることもあります。

川崎市内でもあった事例

実際に起きた事例
  • 花火大会の日、散歩中に雷が鳴って首輪が抜け、愛犬が逃走。半日以上行方不明となり、翌朝に保護。
  • 雷鳴と同時に室内飼いの猫が網戸を破ってベランダから転落。命は助かったものの、骨折と内臓損傷で長期の入院が必要になった

特に注意が必要な犬・猫

  • 幼少期に大きな音に慣れていない
  • 不安傾向が強い性格
  • 老齢で認知症や感覚過敏がある
  • 過去に強い恐怖体験をしている

事前にできる予防策

花火大会や雷の予報が出ている日は、次のような準備をしましょう。

  • 窓やカーテンを閉め、外の音や光を遮断
  • テレビや音楽で生活音を流して外の音を和らげる
  • 安全で落ち着けるスペース(クレートやケージ)を作って慣れさせておく
  • 首輪やハーネスの緩みを点検
  • 脱走経路をふさぐ

慣らしトレーニングも有効

花火や雷の音を録音した音源を使い、小さな音量から少しずつ慣らす「音馴化トレーニング」も役立ちます。毎日数分、日常的な環境の中で行い、徐々に音量を上げていきます。ただし、恐怖心が強い子では専門家の指導が必要です。

パニック時の対応

1.飼い主が落ち着いて対応する

2.優しく声をかけ、安心できる場所に誘導

3.無理に抱き上げたり叱ったりしない

4.サンダーシャツやフェロモン製剤などの不安軽減グッズを活用

※サンダーシャッツとは?

サンダーシャツとは、抱き締められているようなフィット感を愛犬に与える発想デザインのドッグウェアです。特殊なデザインで愛犬を落ち着いた気持ちにさせて無駄吠え・音響不安・閉所不安・環境変化・分離不安などの不安症状をサポートする効果が期待されています。

医学的サポートも選択肢

重度の恐怖症がある場合や過去に事故があった場合は、獣医師に相談しましょう。抗不安薬や鎮静剤、フェロモン製剤などを、事前に安全な使い方を確認したうえで準備しておくと安心です。

事故が起きてしまったら

怪我をしていないかを確認し、異常があればすぐに動物病院を受診してください。脱走した場合は警察や動物愛護センターへの連絡が必要です。事故の後は心因性の不安が長く残る場合もあるため、継続的なケアが必要になることもあります。

川崎市獣医師会からのお願い

花火や雷の音によるパニックは、事前の備えで防げることが多くあります。事故や怪我が夜間に起きた場合は、迷わず川崎市獣医師会が運営する「夜間動物病院」へご連絡・ご相談ください。経験豊富な獣医師が電話でのアドバイスや緊急診療を行います。

夜間動物病院外観

川崎市獣医師会 夜間動物病院

電話番号:044-811-9950
受付時間:午後8時~深夜0時(最終受付 23時30分)
年中無休

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