【犬・猫×キシリトール】ガム1粒が命に関わることも。知っておきたい基礎知識と対応

犬と猫のキシリトール中毒
川崎市獣医師会

川崎市獣医師会

本記事は、公益社団法人川崎市獣医師会に所属する獣医師の専門的な監修のもと執筆しています。

目次

なぜキシリトールが危険なの?

キシリトールはヒトにとっては虫歯予防などのメリットが知られる糖アルコール系甘味料ですが、犬にとっては急性低血糖と肝障害(急性肝不全)を引き起こし得る強い毒性を示します。猫での誤食は稀ですが、安全ではありません。

低血糖の仕組み

犬ではキシリトールが急峻なインスリン過剰分泌を誘発し、血糖が短時間で危険域まで低下します。

肝障害の仕組み

高用量摂取では肝細胞内のエネルギー代謝や酸化ストレスが破綻し、急性肝壊死~肝不全へ進行することがあります。

どれくらいで危険?

製品ごとの含有量の幅が大きいため、安全な量は定義できません。少量でも致命的になり得るため、ひとかじり・1粒でも緊急事態と捉え、ただちに受診してください。外箱やパッケージを持参しましょう。

症状はいつ出る?どんなサインに注意?

症状のサイン

  • 低血糖
    ふらつき、ぐったり、よだれ、嘔吐、けいれん、意識消失。
  • 肝障害
    食欲不振、黄疸、黒色便、出血傾向、尿量減少など。

低血糖は摂取後30分~数時間以内に出ることが多く、肝障害は9~72時間で顕在化します。

食べたかも?と思ったら【今すぐ行うこと】

  • すぐに動物病院に連絡する(平日昼間=かかりつけ、夜間・休日=夜間動物病院)
  • 製品情報を持参
  • 自己流の処置をしない(塩や指で吐かせる、活性炭自己投与など)
  • 低血糖サインがあれば病院の指示の下で蜂蜜などを少量舐めさせる場合もある
  • 来院まで安静に保つ

病院で行うこと

問診・推定摂取量の計算、必要に応じた嘔吐誘発、血糖モニタリングとブドウ糖投与、肝機能と凝固系の評価、必要に応じた肝保護療法、入院観察と退院後のフォローが行われます。

持参すると良いもの

現物やパッケージ、残量、摂取時刻のメモ、既往歴や薬情報、嘔吐物や便の写真

夜間や休日の緊急時は「川崎市獣医師会 夜間動物病院」へ

夜間動物病院外観

診療時間外や休日にキシリトールガムの誤食が発覚した場合は、迷わず川崎市獣医師会が運営する「夜間動物病院」へご連絡・ご相談ください。経験豊富な獣医師が電話でのアドバイスや緊急診療を行います。

川崎市獣医師会 夜間動物病院

電話番号:044-811-9950
受付時間:午後8時~深夜0時(最終受付 23時30分)
年中無休
川崎市獣医師会 夜間動物病院 公式ページ:https://www.kvma.or.jp/night/

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