目の外傷に潜む危険と対応―早期の受診が視力を守ります―

目の外傷
川崎市獣医師会

川崎市獣医師会

本記事は、公益社団法人川崎市獣医師会に所属する獣医師の専門的な監修のもと執筆しています。

目次

なぜ目の外傷は危険なのか

犬や猫の目は、人間と同じく非常に繊細な器官です。角膜や結膜はわずかな傷でも強い痛みや不快感を生じ、放置すれば失明につながる危険があります。
また、目の異常は「こすっている」「涙が多い」「充血している」といった軽い症状に見えることもありますが、その裏に重度の角膜潰瘍や眼球破裂といった緊急疾患が隠れている可能性があるのです。

目の外傷の主な原因

犬や猫の日常生活には、意外に目を傷つけるリスクが潜んでいます。

  • 外傷によるもの
  • 異物混入
  • 化学的刺激
  • 眼球突出

放置するとどうなるか

目の外傷を放置すると、わずか数時間~数日の間に次のような重大な合併症を起こす可能性があります。

角膜潰瘍
傷が深まり、角膜が溶けてしまう
角膜穿孔
角膜に穴があき、眼球内容が漏れ出す
感染症
細菌感染によって炎症が急速に悪化
癒着や瘢痕
治癒しても角膜が濁り、視力が落ちる
失明
重度では眼球摘出が必要になる場合もある

飼い主が気づくべきサイン

以下のような症状が見られたら、目の外傷を疑いましょう。

  • 片目をしきりにこする、こすろうとして家具や床に顔を押しつける
  • 涙や目やにが急に増えた
  • 白目が真っ赤に充血している
  • まぶしそうに目を細める
  • 角膜に白い濁りや傷のような線が見える
  • 瞳の大きさが左右で違う
  • 眼球が飛び出している、あるいは形が変形している

自宅でできる応急処置は?

自宅でできる処置は限られています。大切なのは「悪化させないこと」です。

1.こすらせない

エリザベスカラーを装着し、こすり行動を防ぐ

2.異物が見えるとき

小さなゴミなら生理食塩水で軽く洗い流す

3.化学物質が入ったとき

すぐに流水または生理食塩水で10分以上洗浄

4.絶対にしてはいけないこと

市販の人間用目薬を使う、強く押さえる、無理に異物を取る

動物病院での診断と治療

動物病院では、以下のような検査・治療が行われます。

  • 蛍光色素染色:角膜に傷があるかを調べる検査
  • 眼圧測定:緑内障やぶどう膜炎の合併をチェック
  • スリットランプ検査:角膜や前房を詳細に観察
  • 治療:点眼薬(抗菌薬・抗炎症薬)、内服薬、眼球の保護(コンタクトレンズや縫合)
  • 外科処置:重度の場合は角膜移植や眼球摘出が必要になることもある

川崎市の夜間救急体制

目の外傷は夜間に気づくことも少なくありません。「朝まで様子を見よう」と思っている間に状態が悪化することもあります。
川崎市獣医師会が運営する夜間動物病院(20:00〜24:00/最終受付23:30)では、緊急処置に対応しています。時間外であってもためらわず相談してください。

川崎市獣医師会 夜間動物病院

電話番号:044-811-9950
受付時間:午後8時~深夜0時(最終受付 23時30分)
不定休
川崎市獣医師会 夜間動物病院 公式ページ:https://www.kvma.or.jp/night/

予防のためにできること

  • 散歩時に草むらに顔を突っ込ませない
  • 猫の多頭飼育ではケンカに注意
  • シャンプー時には顔周りに十分注意
  • 家具や室内環境を整えて、ぶつかるリスクを減らす
  • 短頭種は特に眼球突出に注意し、顔周りの取り扱いは丁寧に

まとめ

目の外傷は「ちょっと赤い」「涙が多い」といった軽い症状から始まりますが、放置すれば失明につながる非常に危険な病態です。
飼い主にできる最も大切なことは、異変を感じたらすぐに動物病院を受診すること。川崎市獣医師会は、飼い主の皆さまが正しい知識を持つことで、一つでも多くの大切な視力と命が守られることを願っています。

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