川崎市獣医師会
本記事は、石田動物病院院長・石田先生の専門的な監修のもと執筆しています。
石田動物病院 公式ページ:http://www.kozovet.com/
なぜレオパードゲッコーがペットとして人気なの?

レオパードゲッコー(Leopard Gecko)、通称「レオパ」は、その名の通りヒョウ柄のような美しい模様を持つヤモリの仲間です。正式な和名はヒョウモントカゲモドキといいます。最近、初めて爬虫類を飼う方からベテランまで、幅広い層から非常に愛されています。
人気の理由はいくつかあります。
1.美しいバリエーション(モルフ)
鮮やかな黄色やオレンジ、白、黒など、遺伝子の組み合わせによって数多くの美しい色彩(モルフ)が存在し、コレクション性があります。
2.比較的なつっこさ
根気よく接すれば人に慣れ、手の上に乗せる(ハンドリング)ことも可能です。
3.穏やかな性質
夜行性で日中はシェルターに隠れて休むことが多く、攻撃性が低いため、飼育しやすいとされています。
4.飼育設備のシンプルさ
犬や猫に比べ、スペースを取らず、適切な温度管理さえできれば比較的丈夫に育ちます。
この連載では、レオパを新しく家族に迎えるために知っておくべき「基本のき」を、全3回にわたって徹底解説します。
レオパはどこから迎える?:生体の入手方法と注意点

飼育環境を整える前に、まずは元気なレオパの生体を手に入れる場所を決めましょう。
爬虫類専門店
豊富な知識を持つ専門家から、詳細な飼育アドバイスや、珍しいモルフ(品種)についての情報を得られます。生体の健康管理もしっかりしていることが多いです。
初めてレオパを飼育する方には、専門知識を持つスタッフがいる専門店での購入がおすすめです。
ブリーダー・爬虫類イベント
生体の親情報や血統が明確で、遺伝や健康状態について詳しく聞くことができます。イベントでは多様なモルフに直接出会えます。
特定のモルフや、より明確な血統の個体を求める方におすすめです。購入後のサポート体制を事前に確認しておきましょう。
ペットショップ・ホームセンター
手軽に実物を見て選ぶことができます。
専門知識を持ったスタッフが少ない場合もあります。生体がストレスを抱えていないか、健康状態をよく観察しましょう。
確認すべきポイント
どの場所から迎えるにしても、生体の健康状態をよく観察することが重要です。
- 尻尾: 栄養が蓄えられ、太くぷっくりしているか。
- 目: 目が澄んでいて、くぼんでいないか。
- 動き: 元気に動き回り、警戒心があるか。
- 皮膚: 脱皮の残り(特に指先や目元)がないか。
健康な生体を選び、万全の体制で家に迎え入れましょう。
飼育の心構えと準備:迎える前に揃えたい必須アイテム(初期投資編)

レオパは変温動物であり、私たち人間のように自分で体温を調節できません。そのため、飼い主が適切な温度と湿度を提供することが、健康維持のための最大の責任となります。迎える前に、以下の「命綱」ともいえるアイテムを必ず揃え、環境を整えてからお迎えしましょう。(いろいろと不安な方は、一式セットでも販売されています。)
1. ケージ(飼育ケース)
- 種類と素材
通気性が確保できる、ガラス製やプラスチック製の爬虫類専用ケージを選びましょう。特にガラス製は保温性が高く、観察しやすいメリットがあります。 - 推奨サイズ
成体1匹あたり、幅30cm~45cm程度、奥行き30cm程度のものがあれば十分です。レオパは立体的に活動するより床面を歩くため、高さよりも床面積を重視してください。 - POINT
蓋の固定: レオパは脱走の名人ではありませんが、安全のためにも蓋はしっかりロックできるものを選びましょう。
2. 温度管理グッズ:消化と生命維持に直結する重要アイテム
温度管理はレオパ飼育の要です。
- パネルヒーター(必須)
ケージの底面の約1/3〜1/2程度に敷いて設置します。レオパは地面からの熱で体を温め、消化を助けるため、この底面加温が最も重要です。 - サーモスタット(強く推奨)
パネルヒーターの電源と温度計をつなぎ、設定温度になると自動で電源をON/OFFしてくれる装置です。これがないと、パネルヒーターが過熱してレオパが火傷を負ったり、体調を崩したりする危険があるため、安全のためにも導入しましょう。 - 温度計・湿度計
ホットスポット(温かい場所)、クールスポット(涼しい場所)、ウェットシェルター内部の3か所を正確に測れるように設置します。デジタル式が正確でおすすめです。 - 補足
冬場の保温: 冬場や室温が極端に低い場合は、ケージ全体を温めるための保温球(電球)を、ケージ上部に設置することもあります。ただし、バスキング(日光浴)は基本的に不要です。
3. 床材(底に敷くもの)
床材は、清潔に保てることが第一条件です。
- 初心者向け
キッチンペーパー: 非常に安価で衛生的、汚れがすぐにわかり交換が簡単です。 - 中級者向け
爬虫類用の安全な砂(デザートサンドなど)や、ヤシガラ土(ソイル)などもありますが、特に幼体(ベビー)は誤食による腸閉塞のリスクがあるため、最初はキッチンペーパーから始めるのが最も安全です。
4. 隠れ家(シェルター):安心感を提供
レオパは物陰に隠れて休む習性があるため、隠れる場所(シェルター)がないと強いストレスを感じます。
- ウェットシェルター(必須)
内部に濡らしたティッシュやスポンジなどを入れ、ケージ内の湿度よりも高い高湿度な空間を作ります。レオパはここで脱皮や水分補給を行います。 - ドライシェルター
単に隠れて休むための場所です。ケージのクールスポット側に設置し、落ち着ける空間を提供します。
5. その他の必須アイテム
温度管理はレオパ飼育の要です。
- 水入れ
浅くてひっくり返りにくい陶器製のものが衛生的で安定します。毎日新鮮な水に交換しましょう。 - 餌入れ(必要に応じて)
生餌(コオロギなど)を入れる容器や、人工飼料(後述)・サプリメントを入れる皿(白いものをよく舐める(後述))を用意します。 - ピンセット
生きた餌(活餌)を与える際や、掃除の際に使います。
理想的な飼育環境の「温度・湿度設定」
レオパが健康に過ごすためには、自力で体温調節ができるよう、ケージ内に温かい場所と涼しい場所(温度勾配)を作ることが基本です。また、成長ステージにより違いがあります。
1. 全ステージ共通:基本の温度設定
この温度勾配は、消化活動や健康維持のために必須となります。
| 場所 | 理想的な温度 | 役割と注意点 |
|---|---|---|
| ホットスポット(パネルヒーター上) | 30℃~32℃ | 餌を消化するための最も重要な場所。この温度がないと消化不良を起こします。 |
| クールスポット(ケージ内の涼しい場所) | 25℃~28℃ | 体を冷やしたり、休憩したりするための場所。 |
| ウェットシェルター内部 | 湿度50%~80% | 脱皮を助け、水分を補給するための場所。年間を通して維持が必要です。 |
| 室温 | 25℃前後 | ケージを置く部屋全体の温度も重要です。極端な寒暖差は避けましょう。 |
2. 成長ステージ別:特に注意すべき点
| ステージ | 期間の目安 | 温度・湿度の管理ポイント |
|---|---|---|
| ヤング(ベビー) | 幼体期 | 温度:高30℃~32℃(低26℃~28℃) 湿度:60~80% 消化器官が未熟で体力が非常に少ないため、環境変化に最も弱いです。特に夜間も含めてホットスポットが26℃を下回らないよう、サーモスタットを活用して徹底管理することが重要です。乾燥による脱皮不全にも注意が必要です。 |
| サブアダルト | 生後3~8か月 | 温度:高30℃前後(低25℃) 湿度:50~60% 成長が著しい時期ですが、体調を崩しやすいデリケートな時期でもあります。基本設定を維持しつつ、食欲や尻尾の太さを常にチェックし、わずかな体調の変化にも気づけるよう観察を続けましょう。 |
| アダルト | 8か月~ | 温度:高30℃前後(低25℃前後) 湿度:50~60% 基本設定を維持します。最も安定して飼育しやすい時期です。夏場の高すぎる温度(35℃以上)は熱中症の原因に、逆に冬場の極端な低温は拒食の原因になるため、エアコンなども活用して室温管理を怠らないようにしましょう。 |
レオパ飼育のために最低限必要なもの
レオパをお迎えする前に、以下のアイテムを必ず準備しましょう。
- 飼育ケース
- ヒーター(パネルヒーター、必要に応じて保温球)
- 温度計・湿度計
- シェルター(ウェットシェルターとドライシェルター)
- 床材(キッチンペーパーなど)
- 水入れ
- エサ用、サプリメント用小皿
- ピンセット
- 霧吹き
第1回まとめ
レオパ飼育の成功は、適切な設備と温度・湿度管理で9割決まります。お迎え前に万全の環境を整えることが、レオパとの楽しい生活の第一歩です。
次回予告
【第2回】レオパの毎日のご飯と健康管理:餌やりと給水、病気のサイン
次回は、レオパは何を食べるのか?生餌と人工飼料の違い、餌やりの頻度と量、そして飼い主として知っておきたい病気のサインについて詳しく解説します! 次回は、レオパは何を食べるのか?生餌と人工飼料の違い、餌やりの頻度と量、そして飼い主として知っておきたい病気のサインについて詳しく解説します!






