川崎市獣医師会
本記事は、公益社団法人川崎市獣医師会に所属する獣医師の専門的な監修のもと執筆しています。
「冬に熱中症?」と思うかもしれませんが…
熱中症といえば夏のイメージがありますが、実は冬でも犬や猫が熱中症や脱水を起こすことは珍しくありません。
原因の多くは、室内の暖房環境です。
- エアコンのつけっぱなし
- 床暖房・ホットカーペット
- こたつ
- 電気毛布
- 石油ストーブ・ヒーター
これらは冬の生活に欠かせない便利な暖房器具ですが、使い方によっては夏よりも危険な「隠れ熱中症」を引き起こすことがあります。
特に川崎市のようにマンション住まいが多く、部屋が気密性の高い地域ではリスクが上がります。
なぜ冬に脱水や熱中症が起こりやすいのか?
冬の室内環境には、ペットが体調を崩す条件が揃っています。
1.暖房で室温が高くなりすぎる
2.冬特有の「乾燥」が脱水を進める
3.過度の暖房が「慢性的な脱水」を生む
冬季熱中症·脱水のサイン(見逃しやすい症状)
冬の熱中症は、夏ほど派手な症状が出ません。そのため“なんとなく調子が悪い”程度に見えることがよくあります。
初期症状
- ハァハァする(犬)、息が速い
- 舌が赤い
- ぐったりしている
- いつもよりよく寝ている
- 水を飲む量が減っている
- 食欲が落ちる
脱水のサイン
- 皮膚をつまんでも戻りが遅い
- 口の中が乾いている
- 便が硬くなる、便秘気味
- 尿が濃い、量が減る
進行すると
- 嘔吐・下痢
- 歩行がふらつく
- 反応が鈍い
- 意識がもうろうとする
- けいれん
- 体が熱い(体温上昇)
冬は飼い主が熱中症を疑いにくいため、重症化しやすいのが特徴です。
暖房器具別のリスクと注意点
エアコン
- 部屋の上部に暖かい空気が溜まり、床面が予想以上に高温になることがあります。
- 24〜26℃設定でも、場所によっては30℃近くなることもあります。
- 温度計を床に置いて確認
- 加湿器で湿度40〜60%を保つ
- 長時間留守にする場合は設定温度を下げる
床暖房
最も脱水の要因になりやすい暖房です。
- 長時間体が温められ続ける
- 顔の高さは乾燥した空気
- 逃げ場がない
- 床暖房エリアと非床暖房エリアを作る
- 長時間のONを避ける
- 水を複数の場所に設置
ホットカーペット・電気毛布
接触部の皮膚温が上がり、低温火傷+脱水のリスクがあります。
- 必ず毛布などを1枚挟む
- 直接寝かせない
- タイマーを活用する
こたつ
いわゆる「こたつ熱中症」「こたつ脱水」。
特に猫はこたつを好み、気づけば数時間入っていることもあります。
- 高温・乾燥・低酸素
- 脱水・だるさ・呼吸の乱れが進む
- 長時間入れっぱなしにしない
- 出入りできる隙間を作る
- 中の温度をチェック(40℃近くなることも)
冬季熱中症かな?と思ったときの対応
1.暖房を切り、涼しい部屋へ移動
急激に冷やさず、室温を少し下げる程度で構いません。
2.水分を取らせる
大量に飲ませると吐く恐れがあるため、少量ずつ与えます。
3.呼吸・舌の色・意識をチェック
4.改善しない、ぐったりしている、嘔吐がある場合
自宅での様子見は危険です。できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
川崎市獣医師会夜間動物病院の役割
冬季熱中症や暖房による脱水は、夕方〜夜間に見つかることが非常に多い症状です。
- 仕事から帰宅したらぐったりしていた
- こたつから出てこない
- 水を飲まず元気がない
- 暖房の効いた部屋でハァハァしている
こうした時、“朝まで様子を見る”のは危険です。
川崎市獣医師会 夜間動物病院(20:00〜24:00/最終受付23:30)は、夜間に急激に悪化した症状に対応できる体制を整えています。
川崎市獣医師会 夜間動物病院
電話番号:044-811-9950
受付時間:午後8時~深夜0時(最終受付 23時30分)
不定休
川崎市獣医師会 夜間動物病院 公式ページ:https://www.kvma.or.jp/night/
冬に脱水や熱中症を防ぐためにできること
- 水飲み場を複数設置
- ウェットフードやスープを活用
- 加湿器で湿度40〜60%を維持
- 床面の温度をこまめに確認
- 暖房器具の長時間使用を避ける
- シニア・持病のある子は特に注意する
まとめ~「冬は安全」は大きな誤解~
冬は安全な季節と思われがちですが、犬や猫にとっては夏よりリスクが高い熱環境が室内に作られていることがあります。
- 室内の暖めすぎ
- 強い乾燥
- ペット自身の体温調節の弱さ
これらが重なると、「冬季熱中症」「慢性脱水」が起こり得ます。
季節に関係なく、「いつもと違う」「なんとなく元気がない」と感じたときには、早めの受診が命を守ることにつながります。






