川崎市獣医師会
本記事は、公益社団法人川崎市獣医師会に所属する獣医師の専門的な監修のもと執筆しています。
川崎市で起こり得る災害リスクを知る

川崎市は都会だし、「うちの地域は大丈夫」と思っていませんか?川崎市は都市部でありながら、多摩川や鶴見川といった大きな河川を抱えており、実は地震・台風・洪水といった多様なリスクにさらされています。
- 地震
首都直下型地震では家具の転倒や火災、停電が起きやすく、ペットの逃走や負傷につながります。また、川崎区の沿岸部では津波の被害も想定されています。 - 水害
2019年の台風19号では多摩川が氾濫し、浸水が広く発生しました。高津区・中原区・幸区など低地では特に警戒が必要です。 - 歴史的背景
1974年にも多摩川が氾濫し、大規模な浸水被害を起こしています。
「同行避難」が基本
災害時、ペットを家に残すことは危険です。環境省と川崎市は避難所への「同行避難」を基本としています。ただし同行避難は「一緒に避難所で生活する」ことではなく、「飼い主と一緒に避難所に行き、ペット専用のスペースで飼養する」ことを意味します。
川崎市でも、指定避難所の中でペット専用エリアを設ける取り組みが進められていますが、避難所ごとにルールや運用は異なる場合があります。事前に地域の避難所の情報を確認することが大切です。
平時に整える「ペット防災バッグ」
いざというときに必要な物資は、被災してからでは手に入りません。ペット用の防災バッグをあらかじめ用意しておくことで、避難時の安心につながります。
- キャリーやケージ(普段から慣れさせておく)
- フード・水(5~7日分)
- 常備薬・療法食・服薬カレンダー
- ワクチン証明書や写真(迷子時の確認用)
- 排泄用品、毛布やタオル、おもちゃ
特に川崎市は「ペットの飼い主のための防災手帳」を配布しており、これも一緒に防災バッグに入れておくと役立ちます。
川崎市の避難情報・避難所の“今”を知っておく
避難所のペット受け入れルールは統一されていないのが現実です。川崎市は避難所運営のガイドを整備しており、ペットの受け入れ方法や飼い主の役割が示されています。事前に区役所や自治会で確認しておくことで、いざというときに混乱を避けられます。
台風や風水害の場合、ある程度避難の必要性を事前から予期することも可能です。その際は、「いつ準備するか」が大切です。2019年の台風では避難の遅れが被害を拡大させました。そこで、自宅でも時間軸で準備を整理しましょう。
- 48時間前
防災バッグ・キャリーを準備 - 24時間前
避難先の確認、車のガソリン補給 - 12時間前
ケージやトイレを常設 - 発令時
早めの同行避難
事前に決めたタイムラインに沿って行動することで、焦りや迷いを減らせます。
在宅避難・車中避難・指定避難所:選び方
災害時には必ずしも避難所だけが選択肢ではありません。
- 在宅避難:自宅が安全なら最有力。ただしライフラインを3日分は確保。
- 車中避難:水害や土砂崩れリスクがある場所は避け、換気と温度管理に注意。
- 指定避難所:同行避難は可能だが、同室ではない。鳴き声や排泄の管理など飼い主の協力が不可欠。
逃走・迷子を防ぐ二重三重の工夫
避難生活は人にもペットにも大きなストレスを与えます。普段のお気に入りの毛布やおもちゃがストレス軽減につながります。
- 夏は熱中症、冬は低体温症に注意
- 猫はトイレ環境が変わると膀胱炎にかかりやすい
- 水害後は肉球の傷や皮膚炎が増えるため洗浄と乾燥を徹底
川崎での災害事例から学ぶ
2019年の台風19号では、多摩川流域の河川敷や緑地が大きく冠水しました。散歩ルートや避難経路として利用していた場所が突然使えなくなることもあります。また、旧河道や後背湿地といった地形は浸水リスクが高いことが明らかになっています。自宅や職場の地形を一度調べておくことは、ペットの避難経路を考えるうえでも非常に有効です。
行動計画を家族で共有する
家族や同居人がいる場合は、誰がペットを担当するかを事前に決めておきましょう。役割分担が明確だと、いざというときに慌てず動けます。
- Aさん:非常持ち出し品、人間用の安全確認。
- Bさん:ペット防災バッグ、キャリー担当。
- Cさん:避難所への連絡と情報収集。
川崎市獣医師会からのお願い
災害はいつ起きてもおかしくありません。川崎市獣医師会は、市と連携してペットの災害救護体制を整えています。避難所での受け入れには飼い主の協力が不可欠ですし、ペットの命を守れるのは日頃から備える飼い主の皆さまです。今からでもできる備えを充実させ、いざという時に備えましょう。






