犬や猫に危険な観葉植物―室内の癒しが命を脅かす危険にも

観葉植物
川崎市獣医師会

川崎市獣医師会

本記事は、公益社団法人川崎市獣医師会に所属する獣医師の専門的な監修のもと執筆しています。

目次

観葉植物とペットのリスク

観葉植物は生活に彩りを与え、空気を清浄する効果も期待できますが、犬や猫にとっては危険な存在になることがあります。多くの植物は、動物が誤って口にすると中毒を引き起こす成分を含み、場合によっては命に関わります。

猫は高い所にも登るため、飼い主が安全と思っている場所でも容易にアクセスでき、犬も散歩や庭先で植物をかじることがあります。特にユリ科植物のように、ごくわずかな量でも急性腎不全を起こす危険がある種類は絶対に避けるべきです。

主な有害観葉植物と作用機序・症状

ユリ科植物(ユリ、カサブランカ、テッポウユリ、オニユリなど)

毒性物質
未特定だが猫特異的に腎毒性を持つ成分
作用機序
急性腎尿細管壊死を起こし、急速に腎機能が低下
危険度
猫に極めて致命的。花粉や花瓶の水でも危険
症状
摂取後数時間で嘔吐、数日以内に無尿・急性腎不全

ポトス(サトイモ科)

毒性物質
シュウ酸カルシウム結晶
作用機序
口腔・咽頭粘膜への物理的刺激と炎症
症状
よだれ、口の腫れ、嚥下困難、嘔吐、声の変化

ディフェンバキア(サトイモ科)

毒性物質
シュウ酸カルシウム結晶+蛋白質分解酵素
作用機序
結晶の刺激と酵素による組織損傷
症状
強いよだれ、舌や喉の腫れ、呼吸困難

ドラセナ(幸福の木など)

毒性物質
サポニン
作用機序
細胞膜破壊作用による消化器症状
症状
嘔吐、下痢、元気消失、ふらつき

アロエ

毒性物質
アロイン
作用機序
消化管刺激作用+長期摂取で肝障害
症状
嘔吐、下痢、尿色変化、体重減少

シクラメン

毒性物質
シクラミン
作用機序
消化管刺激、大量で心機能障害
症状
激しい嘔吐、下痢、ふらつき、虚脱

アンスリウム、カラジウム(サトイモ科)

毒性物質
シュウ酸カルシウム結晶
作用機序
口腔・咽頭粘膜刺激、喉頭浮腫
症状
よだれ、嚥下困難、呼吸困難

モンステラ

毒性物質
シュウ酸カルシウム結晶
作用機序
ポトス同様
症状
口腔刺激症状

アイビー(ヘデラ)

毒性物質
サポニン
作用機序
細胞膜損傷
症状
嘔吐、下痢、腹痛、呼吸困難(重度)

ポインセチア

毒性物質
ジテルペン系エステル
作用機序
皮膚・粘膜刺激
症状
軽度の嘔吐、口唇の炎症、眼の充血

オリヅルラン

毒性物質
サポニン
症状
軽度の消化器症状だが繰り返し摂取で体調不良

クリスマスローズ

毒性物質
ヘレボリンなどの強心配糖体
症状
嘔吐、下痢、不整脈、虚脱

毒性は形を変えても残る

有害成分は乾燥・加熱しても消失せず、ドライフラワーやリース、花瓶の水にも残ります。猫は花粉や花瓶の水を舐めるだけでも中毒を起こすため、置き場所や形状を問わず危険性は変わりません。

誤食時の対応

  • 速やかに動物病院へ連絡(夜間・休日は夜間動物病院へ)
  • 植物の種類を特定(現物や写真を持参)
  • 症状がなくても受診(腎障害や肝障害は無症状で進行)

夜間や休日の緊急時は「川崎市獣医師会 夜間動物病院」へ

診療時間外や休日に観葉植物の誤食が発覚した場合は、迷わず川崎市獣医師会が運営する「夜間動物病院」へご連絡・ご相談ください。経験豊富な獣医師が電話でのアドバイスや緊急診療を行います。

夜間動物病院外観

川崎市獣医師会 夜間動物病院

電話番号:044-811-9950
受付時間:午後8時~深夜0時(最終受付 23時30分)
年中無休

予防と管理

1.危険植物は室内に置かない

2.猫がいる場合はユリ科を絶対に避ける

3.代替の安全植物(猫草など)を提供

4.家族や来客にも危険性を共有

5.室内配置や棚の高さを工夫して完全隔離

まとめ

観葉植物はインテリアとして魅力的ですが、犬や猫にとっては致命的な危険を秘めています。特にユリ科は猫に対し極めて高い毒性を持ち、少量でも急性腎不全を引き起こします。日々の安全管理と知識の共有が、愛するペットの命を守る第一歩です。

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